山崎豊子の作品に触れたのは、殆どこれが初めてでしたが、他でも言われているように、虚構と現実(史実)の境界線が実に曖昧なんですよね。
不毛地帯は、1960年ぐらいから1980年ぐらいまでの約20年間の、戦後から現代社会の雛形が形作られるまでの時代における、世界を股に掛けた商社マンの活躍の裏表を描いている訳ですが、五菱商事、五井商事といった旧財閥系商事会社が登場したりして、誰が聞いてもあの二社だよねって感じだし、米国自動車会社のビッグ3と称して、フォーク、グレンスラー、ユナイテッド・モーターズなんていうのが出てくるんだけど、これらも、どんな時でもCEOが自家用ジェットで移動しちゃうって評判のあの三社ですよね。
読んでいて、新聞記者出身の筆者が、どれだけ周到に取材したのかってーのが良く分かります。 夜討ち朝駆け当たり前、商社マン達の虚々実々の駆け引きが日本経済を引っ張り、社会の仕組み、建付けというものを築き上げていくという様が、力強い筆致で描かれていきます。どこまでが史実や、取材に裏打ちされた実際に起きたノンフィクションで、どこからが筆者の想像力によって補完された部分、あるいは創作された展開なのかが、読み進めていくうちに分からなくなってきます。
小説家は究極の嘘つきだという言い方もありますが、ある時代の息吹やその本質を捉えるに当たって、創作された一連のストーリーや主人公を通して目にする、触れるというのも、また改めて面白いなと思いました。 読み進める中で、一頁も退屈しませんでした。
ただし、これは覚悟していたことなんですが、小説を読んでしまった後にドラマを観ると、酷く物足りないんです・・・ やっぱり、原作には敵わないですよね。
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