さて、別の話。 これは全巻を読み終えた後に、ふと気付いたことなのですが、不毛地帯の主人公、壱岐正と「レッド・オクトーバーを追え」、「パトリオット・ゲーム」等でお馴染みの、俗に言うジャック・ライアン・シリーズの主人公ジャック・ライアンには、共通点がたくさんあるなぁと思いました。
執筆された時期が全く異なる(ジャック・ライアン・シリーズの方が後)ので、壱岐正を和製ジャック・ライアンと位置付けることは誤りなのだけど、トム・クランシーのこのシリーズに馴染みのある方で、二人の共通点については、同意をいただける方がいるんじゃないでしょうか?
壱岐正、ジャック・ライアンとも、元職業軍人です。 壱岐正は、陸軍幼年学校、陸軍士官学校、陸軍大学校を主席で卒業した軍人エリートで、終戦時には陸軍中佐で、大本営参謀。 ジャック・ライアンは、ボストン・カレッジ卒業後、合衆国海軍兵学校を主席で卒業した秀才で、事故によりすぐに除隊(最終的には、海軍少尉)してしまうが、職業軍人を志していました。
二人とも、軍人を辞め、一般の社会で働くようになった後も、本人は望んでいないにも関わらず、尋常ではないスピード昇進・出世をして行きます。 それは、自身の能力が地位・権力のある者の目にとまり、引っ張り上げられていくからに依るものであるのだけれど、どちらも高潔な性格であり、決して私利私欲に流されることはなく、大儀や名誉、自身の誇りのために粉骨砕身働く様が描かれています。
とはいえ、あまりに早い出世が周囲の反感、妬みを買い、本人の期するところ、理想とは無関係に、周囲との軋轢を生んで行き、作為的に彼らを追い詰めていこうとする者が現れる点も非常に良く似ている。
また両者とも、良き夫、良き父親である、あるいはあろうと勤めているところも良く似ていて、とはいえ従事している仕事の性質上、その中身や葛藤を妻に打ち明けることができない、それにより逆に妻にあらぬ心配や不安を与えてしまうところも酷似しています。
最も異なる点は、壱岐正が、自身はあくまでも参謀であり、司令官たる器ではないと宣言し、実際にそれを断行するのに対し、ジャック・ライアンは最後には最高司令官になってしまうところでしょうか。
ジャック・ライアン・シリーズがお好きな方は、こんな目線で不毛地帯を読んでみるのも楽しいかも知れません。 Amazon.co.jp ウィジェット
今日は、不毛地帯の感想でした。
おしまい。
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