ようこそ先輩

カンセイの法則 (その3)

2008年12月8日(月曜日) | 仕事, 生活 | コメントはまだありません


コロッケ氏に見る感性の流石!
 

先日NHK の「課外授業 – ようこそ先輩」を観ていたら、モノマネタレントのコロッケ氏がその日の課外授業の先生でした。

まず、この番組ご存知です?
知らない方のために簡単に説明すると、30分ぐらいの番組なんですが、毎回フィーチャーされる有名人がいます。
タレントさんだったりアスリートだったり、とにかく著名人です(直近で私が観た回はコロッケさんでした)。
その方が特別講師になって、自身の母校の小学校(コロッケ先生の場合は、熊本かな?)で、1学級(大体5,6年生ですかね)に対して課外授業をします。
俺様の知る限りパターンとしては、児童に課題を提示して、場合によっては宿題として家庭で取り組んだりするので、2日ぐらいに分けて収録してるんですかねぇ。まあそんな感じです。

で、コロッケの回は、「みんなでモノマネをする」っていうのがテーマでした(笑)
これだけ聞くと、何かコロッケ先生が子供達にモノマネのテクニックを伝授して、新しい気付きがありました、メデタシ、メデタシってな感じになりそうな気がするじゃないですか?
全然違うんですよ、感心しました。
正直これまで”コロッケ”という方を誤解していたようです。

コロッケというモノマネタレントとしての才能(この文章の文脈で言うと感性)が、一流だっていうことは、あまりテレビを観ない俺様でも知っていました。でも、この番組を通して知ったのは、指導者の資質っていうんですかね、もっとハッキリ言っちゃうと、子供たちの感性の開き方が素晴らしいんです。
目から鱗が落ちました。
コロッケさん、あんた凄いよ!

どういうことかと言うと、
俺様の理解では、以下の3つのアプローチで、”モノマネ”という物に対する人の(この場合は児童の)固定観念を取り払い、感性を開いていくようにしていました。
 1. 実はモノマネは似てなくても良い(笑)と断言する
 2. モノマネをデフォルメするに当たって、動物を触媒にする
 3. モノマネとは、ピン芸ではなくて、集団による総合演出ですと定義する

それぞれ説明すると、
1. 実はモノマネは似てなくても良い(笑)と断言する
  最初に宣言してました、ぶっちゃけモノマネは似てなくて良いと(笑)
  観る人を楽しませることが第一義だ、と。

ここで子供達は、何だそうなのか!と思うわけですよ。
「モノマネは似ててナンボ」という固定観念を取り払い、子供たちの中でもモノマネに関しても得手・不得手はきっとある筈で、得意な奴が面白おかしくモノマネするのをプロに診てもらうって場になるんじゃないか!みたいな暗黙の場の空気を吹き飛ばす訳ですよ。
この大胆な宣言により、満場がグッと引き付けられるわけです。
 「ん?何?俺にも/私にもチャンスはある?」
と。

そこでドクトリンって言ったら良いかな、注意が入ります。
モノマネ対象を愚弄するような描写、演出は駄目よと言います。
「真似させてもらうんだ」という対象への感謝の気持ち、その人のことが大好きで、好きで好きでマンジリと観察して特徴をピックアップして取り入れるという基盤を作ります。
そして、その結果モノマネを観る人を楽しませんるんだ!というマインドセットを醸成します。

ここで児童を4人ずつのグループに分けます。
モノマネは、この4人のグループ単位で製作することになります。
実は既述の斉藤教授もおっしゃっていることなんだけど、感性を開くためには少人数のグループに分けてディスカッションをするってことは、(特に日本人の場合)非常に有効なんだそうです。

理由は至って簡単で、大勢の前で話すのと比較して、グループ内なら自分の意見を言いやすいでしょ!
こんなこと言ったらバカだと思われるかもっていうハードルを低くして、自由な発想で色んな意見が出やすい雰囲気を作る効果、出た意見に触発されて新しいアイデアが誘発される効果、こうして意見を表明する人を増やすことで当事者意識を持つ人を増やす効果があるんだそうです。なるほど。
知ってか知らずかコロッケ先生はそれを実践した訳です。

グループ内で相談し、モノマネする対象をチョイスします。
北島三郎、美川憲一、美空ひばりの3人だったかな、候補は。
4人で相談して誰にするかを決め、番組から提供された参照ビデオを繰り返し観ます。
動きの特徴を観察するんです。

手の動きや顔の向き、表情、動きの大きさや速さ、動くタイミング、体の部位間の連携はどうだとか?を4人で色々話し合いながら観察してメモを取っていきます。
対象に興味を持つようにして、とにかくつぶさに見ていきます。
VTR の編集効果かもしれませんが、番組を観ていた俺様も「へぇー、なるほどねぇ」って思っちゃうような特徴の捉え方を子供達はしてました、”北島三郎は、顔と手が同時に方向転換するんだねぇ” とかね。

2. モノマネをデフォルメするに当たって、動物を触媒にする
  つかんだ特徴を自分たちの中で咀嚼するにあたって、
    「どんな動物のどんな動きに似てるか?」
  と、動物を触媒にして特徴をデフォルメします。

対象の表情や動きの特徴をグループでリストアップ出来たら、皆で動物園に行きます。
モノマネはショーなので、特徴を再現する際には、ある程度デフォルメする必要があるわけだけど、そこでその方向性を定めるにあたって感性を開く触媒として動物が登場します。

メモした特徴が、実はどれかの動物の何かの動きに似てないかを探すわけです。
見つかったら、今度は動物のその特徴をよーーーく観察します。納得が行ったら、その”動物の”動きを大胆にモノマネに取り入れます。
こうして
   人間の特徴の模倣(モノマネ) → 動物の特徴の模倣(モノマネ)
という一つのパラダイムシフトが敢行されることになります!!
美川憲一のツンっとした表情が、あっというまにラクダのとぼけた顔の動きになったりする訳です(笑)

えっ!って思うでしょ?
じゃー、それって美川憲一のモノマネじゃなくて、ラクダのモノマネじゃん!と。
良いんです、これで。
だってモノマネは似てなくて良いんだもん(笑)

子供達、動物園の檻の前で、動物たちの特徴を観察し、段々とイメージが出来上がってきているモノマネの動きや表情に早速取り入れて、ちょっと仲間内で実演したりします。「こーかなぁ?」「いや、こーじゃない?」とかね。
もー、感性はバリバリ全開ですよ!

このアプローチって、コロッケ先生も実際にやってるそうで、五木ひろしのロボ・コップ・モノマネっていうのがあるんですってね。ちょっとその映像も流れましたが、ガシンガシン、ウィーンって効果音と共にロボっぽい動きをする五木ひろしのモノマネ。
本人そんな動きしてねーじゃん!っていう突っ込みを入れつつ、コケティッシュな動作に笑ってしまいました。

3. モノマネとは、ピン芸ではなくて、集団による総合演出ですと定義する
  実際にモノマネをするのは4人のうちの1人。
  でも、他の3人のヘルプがあって初めてショーが成立する。

いよいよ、完成した(感性した?)モノマネを披露する段となります。
父兄も観客に呼んでの発表会です。
でも実際にモノマネをするのは1人です。グループ内の他の3人は裏方に回ります。
でも、この3人も含めてモノマネ・ショーなんだということをコロッケ先生は言います。

初めから、モノマネを”似ているべき対象者(本人)の模倣”と位置づけず、観ている人を楽しませるショーとして練ってきたわけですから、そこに主張の一貫性があります。
コロッケ先生のインタビューでも、普段の自身のショー活動での裏方さんへの感謝の言葉が、実際のショーの映像と共に述べられます。

発表会では、話し合いでモノマネする子を決めて、その他は1人が前振りをする司会者役になったり、2人が紙ふぶきを飛ばす黒子になったり、バックダンサーになったりしていました。
実際のところ小学生ですから、ブラウン管を通して観たその発表内容自体は、そんなに面白くないんですけど、プロセスが大事というか、皆とっても楽しそうでしたね。

コロッケ先生の手法。
モノマネという小学生でも知っているありふれたテーマを題材にして、誰でも知っているが故に固定観念にとらわれそうなところを、適切な触媒を用いて感性を開かせていくという、有能な指導者でもそうそう思いつかないであろうリーダシップに感心しました。
授業を受けた子供達も導かれて感性を開かれながら、どう重要ポイントに目を向けて物事を作り上げていくかという、素晴らしい実体験になったんじゃないかなと思います。

(次回へと続く)

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